これまで7回に渡って、名古屋(および近郊)ひとり旅の模様をブログに綴ってまいりましたが、肝心の、旅の第一目的であった「和製マジョリカタイル -憧れの連鎖」展について触れておりませんでしたね。
ほら、あれです。
好きすぎて、どうやって伝えていいかわからない状態です。
しかし、年貢を納めるしかねえ。書くよ。
まずは、この展覧会の基本情報をどうぞ(公式サイトより引用)
【企画展】 和製マジョリカタイル―憧れの連鎖 Japan-made Majolica Tiles―Trail of Inspiration
【会 期】2018年11月3日(土)~2019年4月9日(火)
【会 場】INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」企画展示室
【休館日】水曜日(祝日の場合は開館)、2018年12月26日(水)~2019年1月4日(金)
【観覧料】共通入館料にて観覧可 (一般:600円、高・大学生:400円、小・中学生:200円)
詳しくは公式サイトをご覧くださいましね。
INAXライブミュージアム | LIXIL文化活動 - LIVING CULTURE
行く前には交通アクセスでミスらないために、こちらをご覧くださいね。
【目次】
「マジョリカタイルの回廊」でタイルにまみれて恍惚とする
圧巻はこちら。
左右、天井にびっしりと並んだタイルタイルタイル……
マジョリカタイル好きなら泣いて喜びそうな、タイルまみれの回廊があるのです。
んが、わたくし最初は「ちっ印刷かよ」などと思ってしまったのですね。
ごめんちゃい。
まあ、これだけの数の本物を用意するのは、土台ムリですよ。
しかし、ガッカリ後に説明文を読むと、こういうことが書いてあったのです!!
- この中には本物が混じっています。
- どうぞ見つけて触ってみてください。
(↑うろ覚えなのですが、内容はこんな感じです)
なまじ一旦落胆しただけに、いっそう嬉しいじゃないですか?
大好きなマジョリカタイルを前に、気分のジェットコースターですよ。
ほら。この角度から見ると、のっぺりした印刷と凹凸のある本物のタイルの違いがよくわかりますね。光沢もぜんっぜん違いますよね。
しかも触っていいんですよ、これ!(しつこい)
マジョリカタイル(チューブライニングタイル)の特徴といえば、盛り上がった線ですよね。それを指ですすす〜っとなぞります。
ひんやりとしていて、確かに本物のタイルだということが指先から伝わってきます。
会場には私しかいなかったので、恍惚としながらタイルの線部分をさんざん触ってきました。皆様も見るだけじゃなくて、ぜひお触りになってみてください。
なかなか、こんな機会はないと思うのですよ。
おっと!忘れちゃいかん。
いちばん奥の鮮やかなブルーのタイルをご覧ください。
写真ではわかりにくいと思いますが、この部分はすべて本物のタイル!
正しくはレプリカなのですが、この企画展のために再現して製造されたタイルなのですよ。
しかもこのタイル、ミュージアムショップでオーダーすることができます。
限定70枚ってことで、即決!買いました。
ゴールデンウィーク明けに自宅に届くことになっているので楽しみです。
なお、回廊の窓から、タイルを描いたタイルを眺めてみるのもオツなもんですよ。
日本から東南アジアやインド、アフリカまで旅立った足跡を知る
そもそもこの展覧会の趣旨としては…
イギリスのタイルに憧れて製造された日本製のマジョリカタイルが、やがて輸出産業となり、世界に羽ばいていった。
ものすごくざっくりいうと、そういう話です。
〜 展示内容からちょいと離れて寄り道〜
わたくしがマジョリカタイルを最初に意識したのは、マレーシアのマラッカです。
マラッカの億万長者通り(ヒーレンストリート)にはかつて貿易で財をなしたお屋敷が連なっており、贅を競うように使われているのが色鮮やかなマジョリカタイルなのです。(以下、4枚ともマラッカで撮った写真です)
〜 マレーシア、台湾、日本で見た同じ孔雀のタイル〜
この孔雀のタイルは、最初に見たのがマレーシアのクアラルンプール。
その後に台湾・嘉義の「台灣花磚博物館」で額縁入りのものをみて、やっと生産国である日本で見ることができた(写真3枚目)のが、この企画展なのです。
ラインは同じですけど、色使いがそれぞれ違っていますよね。
浮世絵でも、同じ版木から違う色で刷られるバージョンがあるのを思い出しました。
台湾のあちこちにも、日本製のマジョリカタイルが大量に渡っていたようです。
嘉義にある「台灣花磚博物館」で、それらのタイルを見ることができます。
マジョリカタイル好きな方はぜひぜひぜひ!行ってください!
そういえば、2018年のゴールデンウィークにキューバで見た太陽柄タイルを、2ヶ月後に台灣花磚博物館で見たときにはびっくりしました。
どうやら、これも日本製のようなのです。
(ツイッターでタイルに詳しい方から教えてもらいました)
会場内に飾られていた、タイルメーカー「佐治タイル」の販売網マップ。
このワールドワイドっぷりをご覧ください。
この地図の右下あたりに、確かにハバナの地名も見ることができます。
これ、今みたいなグローバルうんぬんの時代じゃないんですよ。戦前なんです。
自分が旅行先で見たいろいろなタイルは、日本から輸出されてたんだ!!
というのが、今回の企画展でつながったのですよ。
インドにも輸出されていたようで、柄は現地のニーズに沿ってこうなります。
このガネーシャ柄にはかなり衝撃を受けました。
どこに行けば和製マジョリカタイルに出会えるか、手がかりを得られる
タイル好きとしては、できるだけ色々なタイルを、建物に貼られている状態で見たいじゃないですか。
私はこれまで、マレーシアのマラッカ・クアラルンプール・ペナン、そしてキューバのハバナ、台湾の嘉義、中国の天津「五大道博物館」でマジョリカタイルを見てきました。
でも、もっと見たい!どっさり見たい! 行く先々で見たい!
そんな私に、この企画展の解説パネルは「どこに行けばマジョリカタイルを見られるのか」教えてくれるのです。ヒントをくれるのです。
そのうちいくつかを挙げておきましょう。
- 京都のカフェ「さらさ西陣」(明日にも行けそう)
- 台湾・嘉義の「台灣花磚博物館」(週末に行けそう)
- インド・ラジャスターン州の…(頑張れば5年以内に行けそう)
- アフリカのザンジバルの…(レベル高すぎるけど今世紀中にはなんとか)
※( )内の訪問難易度は私の独断によります。
という感じで、会場内でマジョリカタイルを見て、探して、触れることができるだけでなく、今後のタイル散策が楽しみになるヒントが見つかりました!
大きな書店や図書館にいくと「ああ、まだ私の読んでない本がこんなにある」と思うように、今回の企画展を見て「ああ、まだ見てないマジョリカタイルがあちこちにこんなにあるのかよ」という希望だか絶望だかわからない気持ちが生まれましたよ。
行くしかないな、これは……
最後に、だめ押し的にお気に入りのタイルを貼っておきましょう。
というわけで、企画展「和製マジョリカタイル -憧れの連鎖」に、これまでの旅先でのタイルウォッチを交えてお届けしました。
「台灣花磚博物館」に行った時の記録はこちら ↓
マラッカで見たマジョリカタイルのことはこちら ↓
展覧会の図録は、アマゾンで買うこともできます。
和製マジョリカタイル―憧れの連鎖 (INAXミュージアムブック)
- 作者: INAXライブミュージアム企画委員会
- 出版社/メーカー: LIXIL出版
- 発売日: 2018/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今回の企画展に個人蔵のタイルを提供されている加藤郁美さんのご本。
めくって眺めるだけで幸せになりますし、どこに行けばかわいいタイルが見られるのかわかる道しるべにもなります。