6月に訪れた上海近郊の西塘に続き、9月の重慶旅でも古鎮に行ってまいりました。
その名は「万霊古鎮」。
何やらご利益がありそうなネーミングですね。
さっそく、重慶からの行き方をご紹介。
行き方だけが知りたい方は、下記のショートバージョンをご覧ください。
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重慶軌道「石橋舗」駅から南へ700mの陳家坪バスターミナルから「荣昌」行きのバスに乗車。片道49元。
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約2時間で荣昌のバスターミナルに到着。
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「万灵」行きのバスに乗車。片道4元。
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約30分で万霊古鎮の入り口の近くに到着。
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以下はロングバージョンです。
まずは、重慶から荣昌のバスターミナルを目指します。
重慶軌道 1号線の「石橋舗」駅から15-20分ほど歩いて、陳家坪バスターミナルへ。
(駅からけっこう歩くので、もし他の便利なバスターミナルから荣昌行きのバスが出ていることが判明したら、そっちを使った方がよいです)
重慶→荣昌は、片道49元。
私が買ったのは朝10時の便です。
当日に買いに行きましたが、余裕で買えました。(2017年9月現在)
自分の爪が汚いのが気になる。見逃してください。
改札前の掲示板で、自分の乗るバスがどんな状態かチェックしましょう。
たぶん、こういう意味だと思います。
【正在検票】時間通りに改札が行われます
【班車未到】使う車両が、まだ到着していません
私が乗ったバスは10時頃に重慶を出発し、途中の休憩なしで12時頃に荣昌のバスターミナルに到着しました。
ちょうどお昼どきだったので、荣昌でご飯をいただくことに。
付近には、食堂がいっぱいあります。
威勢良く呼び込みをしていた写真のお店で、トマト卵炒めをオーダー。
ご飯つきで10元ですが、とても食べきれないと判断しご飯は断りました。
很好吃 →でもご飯なしだと味が濃いな →お茶で中和(この繰り返し)
このお茶が香ばしくてたいへん好みな味だったので、名前を聞いてくればよかったな。今さらだな。
旅の後悔は、本当に取り返しがつきません。
腹もふくれたところで、いよいよ万霊行きのバスに乗ります。
バスターミナルの掲示を見ても、どのバスに乗ればよいのかわからなかったので、窓口の人にこれを見せました。
その結果、出してくれたのが、こちらの切符です。
霊=簡体字で「灵」なのですね。
バス乗り場で「万霊」の文字で探してたから、ぜんぜんわからなかったのですね。
例によって簡体字が、元の漢字(靈)と違いすぎですから……。
約30分で、万灵に到着。
到着したバス停から、来た道を戻るように進みます。
無事に万霊古鎮の入り口に着いたのだが、これは一体……。
なんだ、このハリボテみたいな街は……。
なぜか西部劇のような趣も感じるのだが。
この時点では、「ぜんぜん古鎮ちゃうやん…重慶からはるばるやってきてこれかよ」と絶望みを感じていたわたくしですが。
ご安心ください。
この看板のある門をくぐって下に降りていきましょう。
よ、良かった……。
どうやら、この向こう側には古い建物が残っているようです。
そうそうそうそう! これやがなこれやがな。
と、ちゃんと古い建物が残っていることに満足しながら歩いていると、第二の絶望が押し寄せてきました。
こちら、古い状態の煉瓦づくりの壁。
それに似せたと思しき、新しい壁。
ってあんた!グレーのコンクリートに白い線を引いただけって……。
せっかくの古鎮の趣が台無しですけど。
いくらなんでも、雑すぎない?と、ここで再びの絶望感。
しかし、気をとりなおして再び歩き始めましたら、いい顔の瓦があって、再び私を歓喜させるのでした。
入り口のハリボテ感と雑なつくりの壁には凹みましたが、以降は順調に古い街並みを楽しむことができました。
わたくしの大好きな、赤い提灯たちよ。
このあたりは、おそらく日本でいうところの「重要伝統的建造物群保存地区」みたいな感じで、普通の民家も文化財として保護されているようでした。
そこで何が起こるかというと…。
古い建物の入り口がオープンになっており、家財道具が見える状態になっていたので、「古い民家を保存した展示館かな?」と思って中に入ったのです。
ん?なぜか壁のカレンダーは2016年バージョンだが……。
と、建物の奥を覗いてみると、普通に人が住んでいるのでした。
ぎゃっ!ごめんなさい。
展示ではなくて、普通に民家だったのですね。
そっと外に出ました。
では、安心して眺め回せる建造物はというと……
25元でこのチケットを買えば、入場料が必要な建物3つを見学することができます。
もちろん、それぞれの入り口で10元払って入場してもOKです。
例えば、この湖廣會館。
湖廣會館の中です。
この時、外の通りからは賑やかな観光客の声が聞こえてきたのですが、中にいるのは私だけ。
この誰もいない廊下の椅子に座って、ぼけっと窓枠の透かし彫りやらを眺めている時間の贅沢なことよ。
この建物に入るまでは漫然と歩いていた古鎮ですが、ここで私なりの散策テーマを見つけました!
こいつです。(左側の柱)
こいつです。(右側の柱)
かなり磨耗してしまっていますが、私にはうさぎに見えます。
はて?実際はどうなんでしょうか?
とにかく、この柱を支える石造りの礎を見てから、古鎮歩きの視点が定まりました。
この古鎮は、柱の下にある石が面白いようだ。
以後、斜め下を見ながら歩こうと決めたのです。
柱を支える、このような土台を「礎石」ということを、さきほど知りました。
そこで断言します。
万霊古鎮の見どころは、礎石!礎石!礎石!
みなさん、歩くときは斜め下を見てください。
では、どうぞ。
まずはシンプルタイプから。
丸い部分にうっすらと線が見えるのですが、何が描かれているのかわかりません。
円形と四角の間に、六角ナットをはめ込んだタイプ。
続いて、丸い部分を何らかのモチーフで支えるタイプ。
右側は、柿の実に見えるのですが、どうでしょう?
続いて、万霊古鎮でもっとも多く見かけた、細かい彫りが入った礎石群です。
梅に鶯かな
葡萄?
以下、何らかの植物かと思われますが、わからない群。
出た!これならわかるよ。龍だよ。
以上、目についた礎石をざっとご紹介しました。
私は古鎮歩きの途中から礎石ウォッチングを始めましたが、最初から着目していれば、まだまだいっぱい見つけられたと思います。
ちょっとマニアック方面に寄りすぎましたので、一般受けする景色もご紹介しますね。
そもそも古鎮っていう時点で、一般受けはゼロなんだけども。
万霊古鎮といえば、この橋。「大荣橋」というそうです。
どんよりと立ち込めた雲のせいか、むやみに不穏な空気感を漂わせております。
ときおり軍用機が上空を横切る音も聞こえてきて、さらに不穏度が増し増し。
この橋のこの磨耗ぶりを見て、この古鎮の歴史を思い知ったのでした。
階段も、このすり減りぶりです。
礎石に続いて、万霊古鎮の見どころその2は、この磨耗ですね。
時間だけが作り出すことのできる造形、それは磨耗。
以下、取って付けたように貼る、古鎮らしい建物でございます。
なお、この界隈の家々はむやみにオープンでありまして、テレビの画面までもがモロ見えでしたので思わず撮影してしまいました。
何ではるばる中国の古鎮までやってきてドラえもんなんでしょうかね。
一気に日本へ連れ戻される感がすごい。
以上で、万霊古鎮の散策はおしまいおしまい。