暇さえあればスマホをいじくりたおしている私ですが、どう足掻いても手放さざるを得ない時間が、飛行機の離着陸時、そして歯科医院の椅子に座っているときです。
外からの情報が遮断されているため、頭の中で遊ぶしかありません。
今回は、旅行とはまっっったく関係なく、歯医者さんでの話。
役立つ情報は一切なし!
それでもいいよ、という方のみ1,400文字ほどお付合いくださいませ。
私は年に3回ほど、虫歯チェックと歯のクリーニングのために、同じ歯科医院に8年ほど通っております。
加えて、その前には渋谷の矯正歯科に10年くらい通っていました。
その2軒の歯科医院で毎回毎回気になっていたことがあります。
それは
歯科衛生士さんにも先生にも
「お口をあいてください」
と言われることです。
ん?
文法的には「あけてください」
もしくは「ひらいてください」
ではないでしょうか?
その言葉を聞くたびに気になっていたものの、「口をあいて」だろうが「口をあけて」だろうが、自分の人生にまったく支障はないので、そのまま放置すること20年。
虫歯なら放置していても見つけて治療してくれるのですけれど、この気になりは放置していると誰も介入してくれません。
そのため、スッキリ解消されないまま、20年の歳月が流れてしまったのです。
私ももう50歳になり、人生の後半にさしかかりました。
昭和に生まれてバブルに乗り遅れ、平成をぼんやり過ごしていたら、とうとう令和。
あと10年で還暦というこの歳まで、「お口をあいてください」問題が気になりながら放置していました。
ですが、昨日(2019年11月2日)も言われるがままに口を開けたり閉じたりしながら、ハッ!と気づいたのです。
これってもしかして…
私じゃなくて、口に向かって直接語りかけているのではないか?
だとすれば、納得がいくぞ!
『アラジンと魔法のランプ』では、岩戸に向かって「開け!ゴマ」と呼びかけますね。決して「開けろ」「開けてくれ」などと門番に言うわけではありません。
それと同様に、お口に向かって直接的に「あいてください」と丁寧語で呼びかかけているわけです。
その場合、本来なら「お口よ、あいてください」になるわけですが、これだとあまりにも呪術めいているので、あたかも私に語りかけているように擬態しながら実際は口に向かって語りかけるという高等な話法が使われているのです。
それによって、どんな効果が生まれるのか?
私という主体をすっ飛ばして、口に向かってストレートに語りかけられると、あたかも口を独立した生命体であるかのように認識することになります。(無意識下で!)
なので、口の中が出血しても歯茎が痛くなっても、私はその惨事を人ごとのように突き放した感情で受け止めることができるのです。
「この流血や歯クソは、私の責任の及ぶとろこではない。独立器官である口の管理下にあるのだ」
こうして歯科医院における私の感情は冷静に保たれ、歯と歯茎の状態によって乱高下することがありません。
このような効果が見込めるのであります!
(以上。妄想おわり)
などと、口の開け閉めにまつわる「てにをは」だけで、ここまで頭の中を無駄な思考で埋めることができる、圧倒的に頭がヒマな時間が私は好きです。
すなわち、歯科医院の椅子に座っている時間が、私は結構好きなんです。
なお、なぜ「あいてください」と言われるのかは、あえてググっていません。
もしかして文法的に、その表現も有りなのかもしれませんが、その可能性も含めて死ぬまで放置しておくことにします。
次回は、たとえニーズがなくても「歯科医院で〜毎回考えていること:その2」を書きます。