9月頭の週末3泊で行ってまいりました重慶の旅。
行く前は、古鎮または老街歩きがもっとも盛り上がると思っていたのですが、さにあらず。
まったく1ミリたりとも想像しなかったし、自分でもかなり驚いているのですが…。
重慶でもっとも私を打ちのめした観光スポットは、「運ぶおっちゃんストリート」(さっき勝手に命名)なのでした。
最寄駅は、重慶軌道1号線・6号線「小什字」駅。
通りでいうと、「陝西路」「打銅街」のあたりです。
もう能書きはいらん!
とりあえず、こちらをご覧ください。
自らの肩ひとつで巨大な荷物を悠々と運ぶおっちゃんを。
けっこう上半身裸のケースが多いです。
肌に荷物が直接当たって痛そうだし、怪我しやすいのでは?
それでも、なぜ裸なのか?
と重慶でも日本でも考えて、私なりに考えた理由はこうです。
服を着た状態で肩に荷物を載せると、服と荷物は摩擦でくっつくが、服は体の上を滑るので、荷物がズレてきてしまう。
だったら、体の上にじかに荷物を載せた方が、荷物が滑らずにむしろ安全。
どうでしょうか?
自分でこうした方法で荷物を運んだことがないので、あくまで想像にすぎませんけど。
もちろん、内陸の重慶は9月初旬とてかなり暑い。
だから脱いでる、というのも理由のひとつかとは思います。
この腰のひねり具合、めちゃめちゃカッコいいんですけど。
観賞用の筋肉ではなく、あくまで実用筋肉なのですよね。
上の写真もそうですが、袋に入った荷物は、握りやすいように隅っこを縛ってあります。
荷物の状態によっては天秤棒を使うようです。
重慶のこのあたりでは、紐を装着した天秤棒を携えて歩いているおっちゃんをよく見かけました。
フリーの運搬屋さんなのか、あるいは特定のお店や流通会社に所属しているのか。
書きながら気になってきました。
観光情報は調べれば出てくるけど、こういう疑問はどうやって調べればいいのか。
肩にタオルをかけてその上から棒をオン。
さすがに、地肌に竹棒だと痛いですよね。
あまりに大量の場合は、さすがに台車となります。
台車であっても、相当に大変だと思うのですよ。
坂が多いし段差もあるし、たとえ舗装されていてもあちこちにほころびがあるのですから。
なにゆえ、大量の荷物を運ぶおっちゃんがこんなに行き交っているかといえば、このあたりは布地や衣類の問屋街だったのでした。
「大型展示庁」と書いてあるので、展示販売を行う卸問屋だと思われます。
付近にはこの手の大型店をはじめ、小さなお店がびっしりある通り、大量の段ボールを積み上げた流通拠点などが存在しておりました。
私が、たまったまこのエリアの宿を予約したからこそ、おっちゃん達の雄姿を見ることができたのです。
もし重慶中心部の繁華街に宿をとっていたら、このおっちゃん達に出会うことはなかった。
さっきから、ずっと「おっちゃん」呼ばわりしていますが、何故かといえば荷物を担いでいる人に若い人はほとんどいないのです。
20代後半の人を一人見たぐらいかな。
ということは、10年後に同じ場所で見る光景とは、10歳分年をとったおっちゃん達が荷物を担ぐ姿なのでしょうか?
いや、数年後にはドローンで空中を運んでいたりね。
飛んでいないにしても、地上を走行するロボットが運んでいたりね。
どちらにせよ、いま若い人がいないということは消えゆく光景なのでしょう。
旅行者の身勝手な感傷です。
とにかく、2017年にたまたま、この光景に出会うことができてよかった。
なお、最寄駅から宿に行くには、この階段を上り下りする必要がありした。
朝はまだいいとして、疲れ果てた夕方以降にこの階段を見ると毎回げんなりしました。
足もプルプルしました。
自らの体をもって、「坂の街」重慶を何度も体感したわけですよ。
大量の荷物を抱えて歩くおっちゃん達に比べたら、最小限の荷物でへばっている私は、しょせんもやしっ子だよ。うううっ。
このクマ、中国でおなじみのアカンやつだと思いますが、もはや私の目にはシャツをまくりあげたおっちゃんにしか見えないのでした。
以上、わたくしにとって結果的に重慶で一番の観光スポットとなった、「運ぶおっちゃんストリート」の光景でした。
旅行前には、まったく想像だにしなかったことに打ちのめされる。
これこそが、行ったことない場所に行く醍醐味なんだと思いまする。
2017年9月10日追記
このお仕事のことを「棒棒」と呼ぶことを、
またしても浜井幸子さんの記事で知りました。
発音はbang bang、棒棒鶏のバンバンです。
2018年7月31日追記
NHK WORLDで棒棒が特集されていることを、ツイッターで教えてもらいました。
棒棒が運ぶのは衣類関係のみではなく、生鮮食品や家具、そのほか色々。
棒棒の会社の社長さんが棒棒博物館を作ろうとして、棒棒のおっちゃんから使い古した棒を買い取ろうとしている様子が出てきました。
番組の副題が「〜正在消失的群体〜」であるように、棒棒を生業にする人は減ってきており、いずれは博物館であの棒を見ることになるのかもしれません。
この番組を見ているうちに、また重慶に行きたくなったのでした。
2018年12月27日追記
いま読んでいる本「辣の道 トウガラシ2500キロの旅」(加藤千洋著/平凡社)の中にも、棒棒のことが記述されていました。以下、その部分の要約です。
・かつては20万人ほどいたが、現在は3000人ほど(本の出版は2014年1月)
・竹竿と2本のロープで小型冷蔵庫や木製タンス、スチール机などを運んでくれる
・重量と距離で料金が決まり、15〜20元ほど
この本を読みながら改めて思いました。
やっぱりもう一回、早く行かないと!
そして私のキャリーケースをお宿まで運んでもらうのです。
そのあと、声をかけて写真を撮らせてくださいとお願いしたいのです。
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